「逢沢りく」
逢沢りくは複雑だ。
笑うことも泣くことも(涙を流すのは得意)
しゃべることも食べることも
上手く出来ない。
つまり、上手く生きられない。
しかし、そもそも生きるなんてことに
上手い下手なんてあるわけがない。
むしろ、りくは、
上手く出来る子だったから
生きられたのか……
母親の、求めることに気づいて。
気づいて、上手く出来る子だったから。
上手い下手を乗り越えて
ただの「生きる」になったりくを見たかった。
けど、物語は終わってしまった。
正直、とても不服です。
不器用ながらも
チョコレートのクマを渡して、
関西の制服を着て、
鳥に名前をつけて、
陸上部にでも入って速く駆けるりくが見たかった。
そこを描かないのが
ほしよりこさんなんだろう。
わかるけど、
読みたかった。